灘五郷マップ
兵庫県の大阪湾沿岸に広がる灘は、西宮から神戸市灘区にかけての約20キロメートルの沿岸地帯に、日本最大の清酒産地を形成している。五つの「郷」に分かれ、それぞれ独自の歴史と蔵元を持つ。
灘五郷それぞれの特徴
| 郷の名 | 主な所在地 | 代表的な蔵元 | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| 西郷 | 西宮市南部 | 白鷹・日本盛・大関 | 宮水発祥の地。1840年代に山邑太左衛門が宮水を発見 |
| 今津郷 | 西宮市今津・香枦園 | 沢の鶴・白鹿 | 宮水地帯に含まれ、辛口の男酒の産地として著名 |
| 魚崎郷 | 神戸市東灘区魚崎 | 浜福鶴・神戸酒心館(福寿) | 阪神大震災(1995年)で大きな被害を受け復興 |
| 御影郷 | 神戸市東灘区御影 | 菊正宗・剣菱・白鶴 | 灘最大の郷。伝統的な生酛造りを守る蔵も現存 |
| 西郷(神戸) | 神戸市灘区岩屋〜六甲道 | 沢の鶴(一部)・灘神戸酒造 | 六甲山の伏流水を利用した仕込みが中心 |
宮水について
宮水は西宮市内に湧く硬水で、硬度は約180〜200mg/L(炭酸カルシウム換算)。カルシウム・カリウム・リン酸が豊富で、酵母の栄養源となる。鉄分がほとんど含まれないことも清酒品質に好影響を与える。六甲山系の砂礫層を通り、地下で海水と淡水が混合してこの独特な水質が生まれる。
1840年(天保11年)ごろ、酒造家の山邑太左衛門が西宮の水で仕込んだ酒が特に発酵良好かつ風味優れることを発見し、以来「宮水」と呼ばれるようになった。現在も西宮市内の宮水地区(戎川沿い)では採水が続けられている。
六甲山と水の恵み
標高931mの六甲山は古くから「水の山」と呼ばれ、花崗岩質の山体がミネラル分を溶け込ませながら水を濾過する。灘五郷の蔵々はその伏流水の恩恵を一千年以上にわたって受けてきた。
注目の蔵元
- 白鶴酒造(御影郷・1743年創業):灘最大の生産量を誇り、白鶴美術館を併設
- 菊正宗酒造(御影郷・1659年創業):生酛造り復活で知られる
- 剣菱酒造(御影郷・1505年創業):室町時代から続く銘柄を現代まで継承
- 神戸酒心館(魚崎郷・「福寿」):2013年ノーベル賞晩餐会で提供された縁で世界的知名度を得る
- 大関(今津郷・1711年創業):初めて「ワンカップ大関」を1964年に発売した革新的蔵元